エコハウスで暮らそう

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「呼吸する家」と「呼吸できない家」

私たち日本人の祖先が「土や木や草や竹」などでつくり続けてきた住宅は、地球の大地とともにずっと「呼吸」し続けてきました。

しかし、コンクリートや金属、ガラスといった新建材の登場は、私たちの暮らしに大きな変化をもたらすと同時に、建築の「呼吸」を止めることになってしまったのです。

例えば、家を建てる際よく耳にする「2×4(ツーバイフォー)工法」で使い始めた合板や、阪神淡路大震災後の復興時に普及した合板張り外壁、屋根防水のためのアスファルトルーフィングや高気密のためのポリエチレンシートといった建材は、確かに多くの住宅づくりに使われてきましたが、本来日本にあった「呼吸する家」を「呼吸できない家」にしてしまいました。

その結果、化学物質の蔓延やカビ・ダニの発生によるシックハウス症候群が起こってしまったのです。こうした人間への影響が確認されると、慌てて24時間換気の導入が義務付けられましたが、これはあくまで応急処置に過ぎません。住宅を建てる際に利用される素材や工法は見直されることなく、現在も「呼吸できない家」が建ち続けているのです。

 

「呼吸する家」を取り戻す

では、どうすれば日本本来の「呼吸する家」を取り戻すことができるのでしょうか。ここからは、人間生活に欠かすことのできない「空気」に注目して一緒に考えていきましょう。

空気の快適さを表す上で、「通気」や「透湿」という言葉が使われます。室内のガス濃度が上昇すると、ガス濃度が低い外気に出ていく作用、これが「通気」です。また、室内の湿度が高くなると、湿度の低い外気に向かって水蒸気が出ていく作用のことを「透湿」といいます。当然、この逆のことも起こります。外部の濃度が上がり、室内の濃度が低ければ、外気や湿気が室内に入ってくることになります。多くの場合、外気が健康の基本と考えることができます。

ここで、もう一つ大切なことがあります。それは、壁や屋根の中の状態です。壁や屋根の中では、日中は厳しい温度上昇があり、夜には下降し、温度低下が毎日起こります。時には、かんかん照りで温度が100℃を超えるほどに上昇した屋根が、突然の夕立に襲われることもあります。屋根の湿気が乾く仕組みがない場合、カビや腐朽菌が繁殖したり、シロアリに襲われる可能性も大きくなります。

こうした被害を防ぐだけでなく、人間も建築も健康であるためには、薬剤で防腐するのではなく、「通気」「透湿」する構造を作ることが根本だと考えます。

 

 

そもそも、高温多湿・低温低湿の日本では、冷暖房による「空調」だけではなく湿度を調整する「調湿」もしなければ快適な空気は得られません。異国の工法をまねるだけでは解決できない、たいへん重要な課題がここにあるのです。それにもかかわらず、作り手である建築技術者の調湿、透湿、通気に対する関心が薄いように感じます。

逆に、異国のアイデアを見習うことで空気の快適さを上げられる、暮らし手の工夫があります。一年中家を閉め切った状態で暮らすのではなく、朝やタ方、あるいは季節の変わり目に、自然の風を取り入れて暮らすということです。こうした自然の取り入れ方は、昔からさまざまな知恵や方法がありました。

アジアのモンスーン地帯では、人体と家屋を健康に保つための通風という方法が欠かさず取り入れられています。また、冬にはめいっぱい光を採り入れ、夏になると鱗戸(夏障子)という建具を用いて光を遮るなど、採光の方法にも風土に根ざした知恵がありました。

このように、作り手と暮らし手がともに工夫して快適な空気をつくり出すことがとても大切なのです。

窓を開けっぱなしで
吹き抜ける風が心地よい。
体が喜ぶ感じ。

夏猛暑の公園。
子どもと遊んで家の中に入ると
なんだか涼しい。
木陰のような涼しさ。
クーラーのキーンと冷える感じは
好きではない。
麦茶を飲んで、そのまま畳で昼寝。
風鈴の音が心地よい。
夜は窓を開けて眠るので
カエルの大合唱。

窓から見える田んぼが見事に黄金色に。
お米のにおい。
秋も割と窓は開けっぱなし。

家の中は寒くない。不思議。
幅射パネルがじんわり暖かい。
マンション暮らしのころは結露がひどく、
乾燥のせいで朝起きるとノドが痛かったが
それはまったくない。

2年間暮らしてみて思うことは
自然がどれだけ厳しいものであっても
この家の中では
快適だということ。
電化製品の力任せな快適さではなく、
自然に寄添うような快適さなのです。
「心地よい」それに尽きます。