アルミの遮熱シートで、夏の太陽熱をシャットアウト。さらに夏も冬も断熱材として活躍する優れもの。 | |
屋根面に空気が通る層を造る。夏は屋根面の熱い空気を排熱、冬は集熱し暖房にする。 | |
雨水や霧雨はストップ、天井裏の水蒸気だけ外に出す、なんとも都合のいい透湿防水シートを使う。 |
熱伝導の三態となる「伝導」「対流」「放射」は、実際の住宅ではどのような割合で熱の移動が起きるのでしょうか。
これまでの断熱材は、空気を閉じ込めて「伝導」と「対流」による熱伝導を抑えてきました。しかし、この「伝導」と「対流」は、実際の住宅における熱伝導全体の30~40%なのです。残りの60~70%の熱移動は見過ごしていたのです。その熱とは「幅射熱」(放射熱)です。
遮熱シートを採用して熱伝導の三態に対応した100%の断熱効果を計ります。
また遮熱シートを使用することにより、壁を無駄に厚くしなくても十分な断熱効果を得ることができるのです。
遮熱の効果を検証するために、あくまでも目安ですが、実験をしてみました。
【実験方法】
赤外線ランプを30分間照射。上部に試験体を密着。下部にセンサーを段ボール紙に固定。
遮熱シートはラミパックSD-Sを使用。さらに外側は、グラスウール50mm厚を敷いている。
室温21℃(実験日2015.5.11)
実験結果が示したように、温度比較の結果から、Cの遮熱シートの両側に空気層を設ける方法が、もっとも効果的な結果となることが確認できました。
おもしろいのはAとBとの違いです。AよりはBの方が温度が低い、誤差なのか理由がある違いかは微妙ですが、Bの方が外部からの幅射熱を反射しやすい構造だと考えることもできます。
Bについては、30分を経過し45分ほどしたときにはAと同じ温度になっていました。A、Bの間にはあまり違いがないと考えてよいでしょう。ラミパックSDは両面がアルミ箔となっているため、このような性状となっていると考えられます。
多くの金属膜が遮熱効果を持っています。使いやすさからアルミニウムがよく使われます。銀色のイメージはアルミからきていますね。ほかの物質にアルミが接していれば、それは熱伝導によって熱が伝わります。その場合、遮熱効果は働きません。遮熱効果が発揮されるのは、非接触の場合です。空間があることです。ですから、両側に空気層があるときがもっとも効果的に遮熱が働くのです。
壁面だけの通気ではなく、屋根と連続した通気を取ります。地上30cm程度のところから、屋根の一番高い棟の部分まで、空気の通り道を作ります。太陽光により通気のエネルギー発生し、上昇気流が生まれます。
通気層の巾をどのような寸法にするのか一般に18mmの巾を取っていますが、日射による熱負荷を減少するためには20mm以上取る必要があります。東・南・西壁の場合です。また、断熱性を生かそうとする場合には18mmまたはそれ以下の寸法が良いのではないでしょうか。西壁をさらに積極的に通気する場合には、45~90mmの通気層を取りましょう。
もう一つは、風圧差が発生することで空気の流れが生まれます。風圧差を利用しようとする場合は、東西、南北の壁面を繋いでおいた方が有効です。同じ方位の壁面の上下に開口を開けてしまうと風圧差を利用できません。したがって、壁上部には開口を開けないようにするのです。これは、屋根面の上昇気流によって、壁面の通気を促進する仕組みにもなっているのです。
国産の防水透湿シートのほとんどのものは、紙おむつの技術でつくられています。薄いフィルムに水が通らず、水蒸気が通る穴を開け、不織布で裏打ちしたものです。
不織布タイプ
200倍
不織布タイプ
1500倍
フィルムタイプ
200倍
フィルムタイプ
1500倍
透湿防水シート機能発現イメージ
透湿抵抗(透湿性)は住宅内の湿気が透湿防水シートを通して、屋外に排出される機能で、㎡・s・Pa/μgの単位で表されます。数値が小さいほど湿気は多く屋外に放出され、壁体内の結露も起きにくくなります。防水性は、雨が透湿防水シートを通して住宅内に浸透しようとする圧力に耐える機能です。数値が大きいほど壁体内への雨水の浸入を防ぎます。
透湿防水シートは、電子顕微鏡写真で確認できるように、0.5μmの不織布の繊維同士の隙間、またはフィルムの微孔から、「透湿防水シート機能発現イメージ」図のように湿気が通過し、雨は遮断されます。
遮熱シート張り
インテロ張り
遮熱・透湿・防水屋根下地材
屋根下地を守るため、防水紙裏に湿気がこもらないようにします。
通気メタル
外気を効率よく取り入れ、長い年月に渡り通気層を確保する工夫をしています。
「白川郷の合掌造り屋根は、妻を南北に向け、屋根面を東西に向けて配置しています。それは、西日によって冬場の融雪を促進し、夏場には茅葺き屋根の気化熱作用により屋根裏を涼しく保つことができる」と解説していますが、この茅葺屋根の気化熱効果はあらゆる民家にいえることです。
茅葺の民家も板葺きの民家もみな、この作用を持っています。それがあってこそ、電気がない時代に、民家の屋根裏で養蚕が可能となっていたのです。
さて、現代住宅でこの茅葺き屋根の力をどのように継承したらよいのでしょうか。
釉薬をかけた瓦ではなく、素焼きの瓦です。下地には土を乗せるのが効果が大きいのです。土蔵の構造に近くなります。
瓦用引っ掛桟の下に通気用の縦桟があり、その間に気密にするシートを張ります。色は黒色画集熱効果が上がります。しかし、有毒ガスが出てはいけないので、アスファルト系はダメです。そうなると、ドイツのルーフィングが良いかと思います。あるいは、風でバタバタするわけではないので、ポリエチレンシートなら大丈夫かもしれません。真夏の100度に耐えられるものでないとダメですね。もちろん、テーピングは必要です。
土とそこに生える植物が、建物への熱移動を遮断してくれる。