壁

壁


通気する壁では、室内で発生した臭気や二酸化炭素は外気に排出される。
断熱材は、熱容量が大きく、調湿機能があり、自然素材でできている断熱材を選ぶ。
壁が通気できなくなるので、ビニールクロス、化学物質系の断熱材、合板(ベニヤ)、気密用のラッピングシートなどは使わない。

通気する壁では、室内で発生した臭気や二酸化炭素は外気に排出される。

①臭気の発生が何も無い状態

室内空間、通気する壁内部の臭気濃度は全て0ppmになっている。

②室内空間で臭気が発生した瞬間

室内で臭気が発生した場合、室内の臭気濃度が高くなり、室内空間と通気する壁の表面の間に濃度差が生じる。

③臭気発生から任意時間経過後

呼吸する壁は、室内との臭気を吸着・透過するため、室内の臭気濃度が下がる。また、通気する壁表面と材料内部の間に濃度差が生じる。

④臭気発生から更に任意時間経過後

これらを連続的に繰り返すことで、最終的に室内で発生した臭気は外気に排出される。

⑤臭気発生から更に任意時間経過後

表面からの吸着及び内部への拡散は継続して行われていく。

⑥臭気発生から長時間経過後

通気する壁は、室内の臭気濃度差が無くなるまで吸着と透過を続け、外気へと通気して行く。

土壁の性能を、乾式工法に取り入れることができれば、現代住宅の性能が飛躍的に伸びる。

湿式工法

 土壁で家を造ると、それが乾くまで半年くらいかかります。昔は、一年間建具も入れず、壁と屋根を施工した状態で風にさらしていました。
 仕上工事は土壁が乾燥してからの仕事でした。そうしないと湿気の多い日本ではカビだらけになってしまいます。これは木材にとっても同じことでした。現在のように乾燥材が現場に入ることはありませんでした。これを湿式工法といいます。

乾式工法

 現代では、湿式工法のように時間をかけることは、工事や住まい手の経費がかかるだけなので、より短い工期での工事が望まれるようになってきました。それが乾式工法です。工場で加工されたものを現場で組み立てる工事方法です。そこでは、多様な建材が使われるようになっているのですが、部分、部分の対応のため、建築全体の構造を検証することなく今に至っています。その結果、空気を閉じ込め、「呼吸できない家」が生まれてきたのです。

箱木家・1000年住宅(兵庫県神戸市北区山田町)

 千年以上の経験を持つ土壁や板壁の家では、シックハウスもなく、壁体内にカビが生えることもありませんでした。伝統工法で使われてきた土壁の性能を、現代の乾式工法に取り入れることができれば、現代住宅の性能が飛躍的に伸びるのです。

鉱物質で構成され、かつ接着剤で固化されていない建材には、土壁と同じ性能がある

バウビオという建材は、30年以上前にはミュージライトと呼ばれ、博物館や美術館の保存庫や展示ケースでスギ板と一緒に調湿材として使われていたものでした。

このバウビオによる検証実験をしてみました。その結果は、均一な鉱物質で構成され、かつ接着剤で固化されていない建材(まさに土壁そのものと同じ)は、「内外のガス濃度が異なる場合、濃度の濃い方から薄い方へとガスが移動する」ことを実証できたのです。

「ダイライト」「モイス」という建材も、バウビオと同じように、鉱物質で構成され、かつ接着剤で固化されていない建材です。

ホルムアルデヒドでの実験結果

室内:実験上のデシケーター内を指す

臭気投与 濃度17ppm

温度変動を与え、外気湿度を大きく変動させた条件であっても、室内の湿度変動は抑制されていた。
気濃度は、室内温度変動と同様の動きをする傾向が見られた。
時間経過に伴い、臭気濃度は低くなり、360時間経過後にはほぼゼロになった。

アンモニアでの実験結果

室内:実験上のデシケーター内を指す

臭気投与 1回目 濃度50ppm
臭気投与 2回目(96時間経過時)濃度50ppm
臭気投与 3回目(192時間経過時)濃度50ppm


ホルムアルデヒドの場合と同様に、時間経過に伴い、臭気濃度は低くなった。
定期的(96時間ごと)に臭気を追加しても、時間経過に伴って臭気濃度は低くなり、最終的にはほぼゼロになった。

断熱材は、熱容量が大きく、調湿機能があり、自然素材でできている断熱材を選ぶ。

一般的に住宅の断熱材を選ぶ時は、熱伝導率を基準に選定されています。
日本の住宅の53%に採用されているグラスウールの熱伝導率は0.036W/mK、採用率23%のポリスチレンは0.46~0.52W/mKといった具合です。
どちらも、熱伝導率が低く、コストが安いということで、日本の住宅の新築4軒の内3軒に採用されている、いわゆるスタンダードな断熱材です。

しかしここに、大きな盲点があります。
それは、熱伝導率が低い断熱材が充分に入っている住宅であっても、夏2階が暑くなることです。1階から階段を上がり2階に着くころには、途端にムンという暑さを感じたことがあることでしょう。また、陽が落ちて夜になり、外部は昼間の熱射から開放されても、室内は依然として暑く、寝苦しい夜を過さなければなりません。

この暑さの原因は、グラスウールもポリスチレン熱容量が少ないため、断熱材そのものが、熱を貯えてしまい、蓄熱材となってしまうことにあります。熱容量が少ない断熱材は、熱を貯え易いため、夏の陽射しを受けて、数時間で熱を貯えます。陽が落ちても、なかなか温度が下がらず、夜になっても熱を放出し続けます。壁の中に電熱パネルが埋め込んであるようなものです。

各種断熱材の吸放出性試験結果

一般社団法人建材試験センターにてJISA6901の7.14放出湿性試験に準じて行った株式会社木の繊維が実施した試験結果による。
この試験結果は、JISA1470-1では実験できない製品があるため、この試験方法で比較した。24時間、厚さ50mm

断熱材名称

重量
重量比熱
熱容量(1㎥当り
吸湿量
放湿量
素材

ウッドファイバー

重量 40kg/㎥
重量比熱 2,100J/kg·K
熱容量 84,000J/K
吸湿量 229g/㎥
放湿量 180g/㎥

自然素材

ウッドファイバー
木の繊維を細かくほぐし空気を固定したもの。製造温度は200℃程度、間伐材や製材屑など木であればどのようなものでも使用できる。
リサイクルが可能なだけではなく木材を積極的に使用できること、豊かな山や川の再生につながることなど、材料が高価なことは吸放湿、防音、熱容量などの性能から考えれば問題ないといえる。

グラスウール

重量 24kg/㎥
重量比熱 1,000J/kg·K
熱容量 24,000J/K
吸湿量 15g/㎥
放湿量 13g/㎥

無機繊維系素材

グラスウール
ガラスを綿状にして細かい繊維の中に空気を固定させたもの。製造温度は1300℃程度。原料の85%はリサイクルガラスを使用する。
価格が安くリサイクル可能な材料なので一般に普及しているが、吸放湿性が無く結露しやすいこと、防音性能や熱容量など、機能面で問題が残る。

 

ロックウール

重量 40kg/㎥
重量比熱 1,000J/kg·K
熱容量  40,000J/K
吸湿量 0g/㎥
放湿量 0g/㎥

無機繊維系素材

ロックウール(岩綿)
玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合し、高温で溶解し生成される人造鉱物繊維。

セルロースファイバー

重量 40kg/㎥
重量比熱 1,260J/kg·K
熱容量 50,400J/K
吸湿量 132g/㎥
放湿量 101g/㎥

自然素材

セルロースファイバー
回収された新聞古紙を主原料に防熱・撥水性能を付加している。

ウール

重量 8kg/㎥
重量比熱 
熱容量 
吸湿量 22g/㎥
放湿量 17g/㎥

自然素材

ウール
羊毛とポリエステルを混合して生成される。

ウッドファイバーは次世代エコ断熱材

グラスウールや発泡系プラスチックスでは、熱容量・調湿性防音性に欠けます。そこで注目されるのが多機能を持った自然系の断熱材です。具体的には、木の繊維「ウッドファイバー」、古紙利用の「セルロースファイバー」、あるいは羊毛系の「ウール」などです。
とくに木質繊維断熱材「ウッドファイバー」は、断熱性能はもとより、熱緩和・防音・調湿など、木でなければ持ち得ない特性に加え、生産に必要とするエネルギーがほかの建材に比べて極端に小さく、生産の過程で発生する廃棄物がでないなど、住む人やつくる人そして地球環境に優しいサスティナブルな次世代型エコ建材といえるものです。
また、荒れ放題の山林を健全化する観点、再生利用な建材という観点から、間伐材利用が可能なウッドファイバーは、これからの社会にピッタリの「総合機能断熱材」です。

木質繊維断熱材「ウッドファイバー」は、熱容量が大きく、調湿機能があり、自然素材でできている断熱材です。

断熱材の採用率と熱定数表

採用率(2019年) 断熱材 名称 密度
(kg/㎥) 
熱伝導率
(W/mk) 
熱容量
(J/㎥k)
吸湿量
(g/㎥)
放湿量
(g/㎥)
39% グラスウール16k 16 0.038 16,500
グラスウール24k 24 0.038 24,700 15 13
高性能グラスウール24k 24 0.036 24,700
グラスウール40k 40 0.036 41,200
グラスウール吹込BIB 35K 35 0.04 36,100
26% 硬質ウレタン 30 0.026 45,000
現場発泡ウレタン 35 0.026~0.036  52,500
15% ロックウール40k 40 0.038 41,200 0 0
ロックウール吹込BIB 65k 65 0.039 67,000
11% 押出法ポリスチレン(XPS)1種b 20以上 0.040~0.036以下 26,000以上
押出法ポリスチレン(XPS)2種b 25以上 0.034~0.030以下 32,500以上
押出法ポリスチレン(XPS)3種a 25以上 0.028~0.022以下 32,500以上
押出法ポリスチレン(XPS)3種b 25以上 0.028~0.022以下 32,500以上
4% セルロースファイバー 40k 40   50,400 132 101
3% ビーズ法ポリスチレン(EPS) 30 0.032 43,500
3% フェノールフォーム 0.023
ウール 8k 8 0.035   22 17
ウッドファイバー 40k 40 0.038 84,000 229 180
採用率:株式会社矢野経済研究所HP参照

壁が通気できなくなるので、ビニールクロス、化学物質系の断熱材、合板(ベニヤ)、気密用のラッピングシートなどは使わない。

建材を利用するときには、透湿抵抗値を検討すること。透湿抵抗値とは、湿気を通しやすいか、通しにくいかという数値です。
透湿抵抗値は、㎡h・mmHg/g(・s・Pa/ng)という単位で表されます。この数値が大きければ大きいほど湿気を通しにくいということを示しています。
「通気する壁」を実現するためには、この数値に注目する必要があります。下地材から仕上材まですべての材料に共通して、最大で5・h・mmHg/g、できれば3・h・mmHg/g以下のものを選択するのが理想です。熱材は使用不可となります。

したがって、通気層から内側の材料でいえば、構造用MDF板を使用します。MDF板木材を原料とし繊維化してから成形されているので通気性に優れます。熊本地震の繰り返しの揺れにも耐えた優れた構造板です。内装下地としてプラスターボードは問題ないのですが、できるだけモイスか、バウビオを使用します。仕上には透湿型の塗装か漆喰、土壁、珪藻土などの左官材、または和紙クロスやルナファーザーを使用します。
構造用合板は使用不可。仕上げ材として、ビニルクロスは使用不可。断熱材として、化学物質系の断熱材は使用不可です。

通気性に優れるMDF板。

各種建材の透湿抵抗値比較

最大で5・h・mmHg/g、できれば3・h・mmHg/g以下のものを選択するのが理想

外壁下地ボード 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿抵抗
㎡・h・mmHg/g
壁倍率
OSB合板 11.1 30.6
構造用合板 8.8 550 0.15 20.6
針葉樹構造用合板特類2級 9 600 0.17 10.3 2.5
木摺り杉板 12 500 0.12
ダイライトMS外壁下地 9 700 0.13 2.3 1.5~2.5
ダイライトMS外壁下地 12 700 0.13 3 2.0~3.0
シージングボードアセダスD 12 270 0.05 0.9 1.0~2.0
モイスTM 9.5 700~900 0.24以下 5.29
バウビオ-N 25 170 0.047 1.33
構造用MDFハイベストウッド 9 700 2.0 2.5~4.0
内壁下地ボード 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿抵抗
㎡・h・mmHg/g
壁倍率
石膏ボード 9.5 754 0.18 1.1
石膏ボード 12.5 754 0.18 1.4 1.0~2.9
モイス 9.5 700~900 0.18以下 3.65
バウビオ-T 15 450 0.073 0.91
外壁仕上材 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿抵抗
㎡・h・mmHg/g
比熱
漆喰・スタッコ 1320 0.6 6.3
木製下見板張り 1
スレート系サイディング 24.1
土壁 1,280 0.69 0.88
モルタル 15 2,120 1.5 19.5
ガルバリウム鋼板 7,860 45 0.48
内壁仕上げ材 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿抵抗
㎡・h・mmHg/g
比熱
漆喰 1,300 0.7 6.3
薩摩中霧島壁 0.17
北のやすらぎ
杉、桧 400 0.13 322.5 1.30
化粧合板 532 0.11 892.3 1.30
ビニルクロス 550 0.15 1.39
和紙 0.12 850 0.29
50 230 0.11 2.30
軟質繊維板 9.6 270 0.051 0.51 1.30
外壁下地用防水シート 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿抵抗
㎡・h・mmHg/g
比熱
タイベックシルバー 0.18 0.6
アスファルフォフェルトNo.15 11.7
ポリエチレンシート 0.9 91 253.5
モルタルラミテクト 0.25
可変透湿気密シート 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿抵抗
㎡・h・mmHg/g
比熱
インテロ 0.25
タイベックスマート 0.21
屋根下地用防水シート 材料名 厚さ
mm
密度
kg/㎥
熱伝導率
W/m・K
透湿度
g・㎡/24h
比熱
アスファルトルーフィング 22kg 10
ルーフラミテクト 2,200
イーストルーフ 3,048

外壁仕上げ

外壁の素材で断熱効果を上げることができます。 それは、気化熱冷却効果のある吸水性のあるシラス利用の土壁です。 茅葺き屋根と同じように、水分を含み、太陽光が当たると蒸発し、熱負荷を軽減する土壁に代わるものです。 現代工法の多くの外壁建材は、屋根材と同じように水分を含むことのない防水材になってしまいましたが「そらどまの家」では、外壁も水分を含むことのできる壁材料を推奨しています。

スーパー白洲そとん壁 かき落とし仕上げ

京都サロン 京都市西京区大原野 設計:伊礼智設計室 施工:株式会社松彦建設工業


シラスは大量の火砕流として一気に堆積したため、他の土と混ざることなく厚い地層を形成しました。一般的な土は、岩石が細かく分解された粉末に植物や微生物などがもたらす作用によって様々な有機物質が混ざったものですが、シラスはマグマが岩石となる前に粉末となった物質であり、養分を持たない「原始的な土」ともいえます。

可変透湿気密シート(内壁用)

内壁用の可変透湿気密シート「タイベック・スマート」は、空気中の水分が少ないときには湿気を通さず、多いときには湿気を通します。タイベック・スマートの場合、これを実現しているのが、独自のポリビニール・アルコール(PVA)です。

絶対湿度が下がり、周囲の水分量が少なくなると、活発化した水はポリビニール・アルコールの手を振り払い、また飛び出していきます。残されたポリビニール・アルコールは、ポリビニール・アルコール同士で手を撃ぎ直し、分子間の隙間が小さくなります。その結果、再び気密性能を発揮するようになります。

防湿・気密シートは大変に有用で、住まいのエコ化が求められる中、更なる普及が望まれます。しかしながら、一般的な防湿・気密シートを温暖な地域で使うは、課題がありました。夏型結露(逆転結露)と言われる、『夏場の高温多湿な空気が、空調された内壁に触れて、壁の中で結露する』という問題です。

乾燥状態

乾燥状態のポリビニール・アルコール(PVA)は、あらゆるプラスティック中、もっとも分子間の隙間が小さく、抜群の気密性能を発揮します。これは、ポリビニール・アルコールの分子同士が、密接に手を繋いでいるからです。(化学的に言うと、ポリビニール・アルコールが持つ水酸基=手が、水素結合により密接に結びついています)

高湿状態

そこに湿度(=水分)が加わると、ポリビニール・アルコール同士で結んでいた手を離し、代わりに水と手を繋ぎます。その結果、ポリビニール・アルコール同士の隙間が拡がります。さらに湿度が上がると、その分、水と手を繋ぎ、どんどんポリビニール・アルコール同士の隙間が拡がり、結果、湿気(=水分)を通すようになるのです。

可変透湿気密シート タイベック・スマート(デュポン)厚さ0.214mm
可変透湿気密シート インテロ(エコ・トランスファー・ジャパン)厚さ0.2mm ドイツ製

大きさ比べ 霧雨・髪の毛・花粉・一般的な市販マスクのメッシュ・PM2.5・ウイルス

1m(メートル)の1/1000が1mm(ミリメートル)
さらに1mmの1/1000が1μm(マイクロメートル)※マイクロメートルはミクロン(仏語)と呼ばれることもある。
さらに1μmの1/1000が1nm(ナノメートル)


ポリエチレン(PE)0.000716μm=0.716nm
ポリビニール・アルコール(PVA) 0.000428μm=0.428nm
酸素(O2) 0.000296μm=0.296nm
水蒸気粒子 0.0004μm=0.4nm
ウイルス 0.1μm
霧雨 100μm
普通の雨 2000μm