空気循環と換気

空気循環と換気
空気循環と換気

空気循環と換気


家の間取りは平面と立体で考える。南北に窓を配置し、上昇気流を活用して風通しの良い家にする。
通気する壁・天井ファン・微風扇風機など、空気が循環する仕組みを計画する。
換気の機能役割を理解して、水場廻りの局所換気と、家全体の全室換気を賢く併用する。

家の間取りは平面と立体で考える。南北に窓を配置し、上昇気流を活用して風通しの良い家にする。


空気循環と換気は、まず自然換気を最優先で考えます。
自然換気のポイントは、3つ。

自然換気

自然換気のポイント① 窓は南北に設置
日本の風土では、風は南北に抜けやすいので、窓は南北に設置し風の通り道を確保する。風通しのいい家は、心地いいですよね。春と秋には、窓を開けて家の中に風を通しましょう。ただ、花粉やPM2.5などが部屋の中に入ってきてしまうので、窓を開けたがらない家庭も増えているのも実情。窓を開けないで、換気したい場合は、通気する壁と全室換気の仕組みで解決します。

風通しのいい家で、素足で過ごす子供たち。

自然換気のポイント② 上昇気流
暖かい空気は上に昇る上昇気流という性質を利用し、吹抜けや階段を風の通り道にする。家の間取りを考える時には、平面だけでなく立体で考えることが必要です。
自然換気のポイント③ 出す側の窓は狭く開ける
外の空気を入れる側の窓は広くして、出す側は狭く開ける。狭く開ける窓は、どのぐらい窓開けるのか、実際に住んでからでも、工夫できるところ。

長久手の家 愛知県長久手市 設計:株式会社エーアンドエーセントラル・丸谷博男 施工:株式会社松田建設

上昇気流

通気する壁・天井ファン・微風扇風機など、空気が循環する仕組みを計画する。

通気する壁

通気する壁では、室内で発生した二酸化炭素や臭気は外気に排出されます。室内で消費された酸素が外気から取り込まれます。窓を開けなくても、壁が通気できる構造になっていれば、二酸化炭素・臭気・酸素などの空気は、密度が濃い方から密度が薄い方へと移動するのです。
ですから、
ビニールクロス、化学物質系の断熱材、合板(ベニヤ)、気密用のラッピングシートなどは、空気の移動の妨げになるので、決して使わないように注意します。詳しくは「エコハウスの造り方・壁」のページで紹介しています。

室内循環

室内の空気循環させる時に、空気の通り道として、吹抜と階段の2ヶ所を設けます。吹抜けの上部に設置するシーリングファンは効果的です。また、一般の扇風機よりさらに風速をゆっくりにした微風扇風機は、部屋の中の空気を緩やかに動かしてくれるため、心地よく過ごすことができるのでお薦めです。

換気の機能役割を理解して、水場廻りの局所換気と、家全体の全室換気を賢く併用する。

換気扇が回っていれば、換気ができているとつい思いがちです。しかし、それは違います。室内の空気が本当に入れ替わるためには、それなりの手法が適切に配慮されなければなりません。
よく川の話を例に挙げます。川をよく見ていると、早く流れているところと流れにくく溜流しているところがあることを理解できます。つまり、抵抗の小さいところが早く流れ、抵抗の大きいところは流れにくくなるのです。空気の流れは水と異なり、目に見えないのですが、このような視点にもとづいて換気を行う必要があるのです。

川は、早く流れているところと、流れにくく溜流しているところがある。室内の空気も同様。

局所換気(第3種換気)

第3種換気とは、トイレや浴室の局所換気扇を利用して24時間換気に役立てるものです。各居室には外気取り入れ口を設けます。第3種換気だけで24時間換気を行う方法がもっともローコストなため、現状では一番多く施工されています。しかしこの方法ですと、各居室に夏は暑い外気が、冬は冷気が直接入ってしまい、けっして望ましい方法ではありません。単に一番安価にできるために普及しているという状況です。

換気扇を、換気側に使うか給気側に使うかによって、異なる3つの方法があります。
第1種換気

給気と排気の両方に換気扇を設ける方法

  第2種換気

給気側に換気扇を設け、 排気側には排気口だけを設ける方法
  第3種換気

排非気側に換気扇を設け、 給気側に給気口を設ける方法
換気の範囲 全般換気 住宅全体を換気する
局所換気 キッチン・トイレ・浴室などの換気
換気の方法 自然換気 住宅全体を換気する
機械換気 キッチン・トイレ・ 浴室などの換気
機械換気 換気扇により強制換気する

全室換気(そらどま換気)

全室を換気するシステムは、「そらどま換気」と呼ばれています。寒い冬も暑い夏も、一年中働き続けます。太陽は直接屋根に熱をもたらします。そして地中にも熱を蓄えます。これらの熱を利用して室内の換気を行います。希望がある場合には地中熱の利用も行います。使用する機械は、効率のよい直流モーターの熱交換式の換気ファンです。PM2.5や花粉を除去しようと言う希望があるときには、静電気でこれらを吸着する「トルネックス」という機械を組み入れて換気を行います。外気から取り入れた空気も、室内循環空気もすべてクリーンにしてしまうところに「そらどま換気トルネックスタイプ」のすごさがあります。驚きでしょう。

さらに、洗濯物もPM2.5や花粉から守りたいという家庭では、室内から屋外に掃き出す換気空気を洗濯乾燥室に回します。そうすれば、PM2.5や花粉の心配がなくなります。北欧の集合住宅では、省エネを考える場合、換気をセントラルシステムで行います。そのときに、地下にある洗濯室に排気空気を送っているのです。外気では凍ってしまう洗濯物。安心して干しておくことができます。

「そらどま換気」システムは、第一種換気+第二種換気といえます。外部からの新鮮空気を床下に送り、各部屋の床吹き出し口から各部屋に送り込み、居間や廊下へと流れ、最後は2階の天井付近から、一つに集めて排気します。給気と排気は熱交換型換気扇により熱回収しますので省エネとなっています。
一般の住宅では床下には外気が侵入してくるのですが、床下にも換気が行き渡り、カビが生えにくい状態となります。土台や根太にとっても好条件となります。

最近、危険視されてきたPM2.5をはじめ、花粉やさまざまなアレルゲンやカビ菌を含む外気や室内空気に対しては、目詰まりするフィルターによることなく静電気で浄化するシステムも付加することができます(オプション対応)。隙間風のない「加圧式全熱交換換気」。それが「そらどま換気」です。そしてさらに、工夫していることがあります。外部からの給気を、冬天気のよいときには屋根面から暖かい空気を取り入れ、そのほかのときには外気を直接取り入れるのです。また夏の夜間には、外気を取り入れて夜間蓄冷するシステムが標準となっています。

地熱を利用した「どまチューブ」(クールチューブまたはアースチューブ)もオプションとして採用できるようにしています。「どまチューブ」は、冬も夏も一年中地熱利用で省エネが可能です。実際に取り入れるためには、いくつかの条件を満たさなければなりませんので、ぜひ相談してください。

見落としがちな熱交換換気の問題点

省エネを一生懸命に取り組んでいる工務店によくあることですが、性能のよい熱交換型換気扇を使っていても、必要以上の換気をしていて、じつはせっかく暖めた空気を無駄に捨てていたり、せっかく冷やした空気を無駄に捨てていることが多くあります。
換気扇には一定の能力があるのですが、各住宅は法令による1時間当たりの換気量がそれぞれ異なるのです。例えば、1時間当たりの必要換気風量が150とします。
熱交換型換気扇は200㎥の能力を持つとすれば、このまま使用すると50の不必要な空気を外に捨てていることになります。これを解決しているのが「そらどまの家」の換気システムなのです。余分の空気は、再度室内に戻しているのです。
この戻し空気をフィルターを通すようにダクトを組むと、外気と室内空気の両方を浄化できるのです。このシステムはほかに例はありません。ぜひ取り組んでください。

機械換気設備の種類別比較

  第1種換気 第2種換気 第3種換気 そらどま換気
設備費用が安価 ×
トイレなどの局所換気を兼ねることができる
新鮮な空気を確実に供給できる
換気扇の能力の決め方により室内の流れを制御できる
室内が減圧されるため隙間から鉢体内への湿気の侵入を防ぐことができる ×
室内が加圧されるため隙間から室内への空気の侵入を防ぐことができる ×
熱交換して換気することができる × ×