追分の家

追分の家 長野県北佐久郡軽井沢町
追分の家

追分の家 長野県北佐久郡軽井沢町

軽井沢町「緑の景観賞」特別賞受賞

セガイ(船枻)造とは、側柱の上部から腕木をのばして棚をつくり、軒を深く持ち出し、勾配の緩い軽快な屋根を掛ける構造のこと。

旧宿場町でもある追分に建つセガイ造りの古民家でした。

古民家再生の相談で訪れましたが、石場立て工法の基礎の不安定さ(しっかり乗っている建物もあります)や木部の腐れ、接合部の弱さなどを見て判断した結果、新築なみの予算がかかってしまう、ということが判明しました。お金をかけたわりには、ご要望どおりの間取りも確保できないということで、住まい手ともよく話し合い、新築にすることとしました。

しかし、新築と言ってもただの新築ではありません。道路側の建物は、そっくりバラシて修復し、後ろ側の新築部分と合体して作り上げました。住まい手の「なんとか再生したい」というお気持ちは、この追分の景観や建物を守りたいという強い願いと察し、外観のディテールや材料も含めそのまま再現することとしました。

文:安藤建築設計工房・安藤政英

斜め方向から見ると、屋根の軒が大きく張り出しているのがよく解かる。屋根の張り出し長さは約1.6m。道路正面となる外壁仕上げは、木摺ラスモルタル金ゴテ下地・漆喰塗り。建物妻面となる東側の外壁は、弾性リシン吹付仕上げ。煙突は玄関土間に設置されている薪ストーブの排煙。煙突の下部に薪の置き場が見える。
土間玄関と板の間の全景。板の間の床は、古材のカラマツ板厚15mm貼りの上カシュ―仕上げ。壁は珪藻ジュラク・シルクタッチ仕上げ。天井は杉板厚12mm貼り仕上げ。
玄関土間は豆砂利洗い出し仕上げ。薪ストーブとその左側に手洗いカウンターを設置。敷台は奥行90cmとして厚さ15mmの欅(ケヤキ)板貼り。
2階リビング。床は厚さ30mmの無垢の杉板貼り。東側の窓の障子を通して、優しい光が導かれる。
2階リビングの西側を見る。西側の窓はハイサイドに設置している。
キッチンカウンターの内側からダイニングを眺める。左側は2階へ続く赤松板で造作した木製階段。
ダイニング・キッチンの吹抜けは、無垢梁の大架構を見せた。
寝室からダイニング・キッチンの吹抜け上部を見る。右側は座卓板に堀炬燵。障子紙は、手前と反対側に市松式で貼られている。
木製階段を上った2階の廊下からダイニング・キッチンを見下ろし。白いカウンターはアイランド型のオーダーキッチン。
浴槽は木製で1200×700。壁天井は、さわら板厚12mm貼り。床と腰壁の仕上げは300角自然石タイル貼りで、自然石の素材は十和田石をセレクト。十和田石は、水が掛かることで表面の色が緑青色に変化し、趣を魅せる。
概要概要
追分の家
長野県北佐久郡軽井沢町
古民家再生+新築
用途:住宅
建物:2階建て
構造:木造軸組構法(セガイ造)

軽井沢町「緑の景観賞」特別賞受賞
敷地・建物敷地・建物
第1種住居地域
建築基準法第22条指定区域
鉄筋コンクリート造べた基礎
切り妻屋根
機能機能
第3種換気(トイレ・浴室・キッチン)
シーリングファン
生活スタイル生活スタイル
玄関土間・敷台
薪ストーブ
板の間
吹抜け
木製本棚
茶の間(ヤロウ畳)3帖
小玄関・寄付き
オーダーキッチン・アイランド型
人造大理石カウンター
木製浴室+木製浴槽+木製すのこ脱着式
木製階段 赤松板厚36mm ノンスリップ加工
仕事部屋
作業カウンター
2階リビング
座卓板・堀炬燵
竹すのこ製のベット土台
小屋裏物置
仕上げ仕上げ
屋根仕上げ:三州土瓦葺き、カイズ鬼、薄のし5段と棟換気(瓦ベンツ)
屋根下地:アスファルトルーフイング22kg、野地板厚12mm斜め打ち
外壁仕上げ:漆喰塗り、弾性リシン吹付
外壁下地:木摺ラスモルタル金ゴテ、通気層厚18mm
断熱材:
・2階天井裏 羊毛断熱材厚100mm
・壁 羊毛断熱材厚100mm
・基礎 外断熱防蟻処理断熱材厚50mm

天井仕上げ:杉板厚12mm
壁仕上げ:石膏ボード 厚12.5mm 下地 珪藻ジュラク、漆喰、京壁
床仕上げ:杉板厚30mm、縁無畳厚60mm
設計・施工設計・施工
設計:有限会社安藤建築設計工房
施工:石井工務店株式会社
面積面積
敷地面積:686.55㎡(207.68坪)
建築面積:127.89㎡(38.69坪)
延床面積:186.55㎡(56.43坪)
1階床面積:121.17㎡(36.65坪)
2階床面積:65.38㎡(19.78坪)