内装材料が使用される室内環境では、建築材料や家具等から発生する化学物質が様々な疾患を引き起こし問題になっている。中でもホルムアルデヒド類は最も問題視された物質であり、除去対策も重要な課題である。
そこで樹木由来成分によるホルムアルデヒド類の除去機能についても検討した。特に精油類はすでに悪臭成分の消臭能が高いことが認められていたので、抗菌性物質のスクリーニングの過程で使用された各種精油類を中心にホルムアルデヒド類の除去能を調べた。その結果、使用した精油類のいずれにもホルムアルデヒドの除去能が認められ、中でもスギ葉油、モミ葉油の除去能は高く、除去率は80%を超えていた。
また、一般に材油よりも葉油の方が除去能力が高い傾向にあった(図2)。これらの精油類の利用方法やホルムアルデヒド類の除去機構については、現在検討中であるが、精油類に対しエマルジョン化等の処理を施し、材料へ添加する方法や精油類をシクロデキストリン等で包括し、換気用フィルター等へ応用する方法などが考えられ、それらの方法を駆使した室内空気質の改善も可能であろう。